人類の進化と大脳化

霊長類の進化

中生代の終わり、6500万年前に恐竜が絶滅した後、新生代が始まる。このときに、昼行性の恐竜に対し、夜のニッチでひっそりと暮らしていた哺乳類(有胎盤類)が急速に適応放散した。霊長類(サル目)も、このときに登場した。霊長類は樹上生活に適応した動物であり、立体視ができ、初めは夜行性だったがその後、昼行性となり、色覚が進化したという特徴がある。(→ヒト以外の主な霊長類[*1])


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 新生代における霊長類の進化[*2]

ヒトの進化

ヒトの祖先は、およそ500万年前[*3]に、チンパンジー属とゴリラ属の共通祖先から分岐した。その後、多数の系統に枝分かれしながら、現在に至っている。


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 大型類人猿とヒトの系統[*4]


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 主要な化石人類[*5]


ネアンデルタール人は主にヨーロッパに住んでいたが、4万年前に絶滅した。アフリカを出た現生人類がヨーロッパに到達したのが4万5千年前なので、両者は数千年間共存していたと考えられる。あるいは、現生人類がネアンデルタール人を滅ぼしたのかもしれない。遺伝学的な研究は、現生人類のゲノムの中にネアンデルタール人に由来すると思われる遺伝子が含まれていることから、両者は交雑したのだとも推測される。この場合、ネアンデルタール人は現生人類の亜種 Homo sapiens neanderthalensis ということになる。


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 蛭川のゲノムに含まれるネアンデルタール人の遺伝子

大脳化

人類が他の生物と大きく異なるのは、その脳のサイズであるが、この大脳化は、最近200万年の間に、急速に起こったと推測されている。(→予備知識としては「動物の脳の構造」を参照。)

ただし、生物としての人間が他の動物と異なる点は、高い知能の他にもたくさんある。笑う、泣くなどの感情が豊富であり、また「裸のサル naked ape」と言われるように、大半の体毛が失われているのも大きな特徴である。。これは、衣服という文化との共進化かもしれない。しかし、身体の一部には体毛があり(頭髪、眉毛、睫毛、髭、脇毛、陰毛など)、年齢や性別によって生えたり失われたり、あるいは白髪化する。さらに、文化によって、剃ったり、逆に伸ばしたりすべきだという、さまざな規範もある。


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 化石人類の大脳化[*6]


ネアンデルタール人 Homo neanderthalensis の脳容量は現生人類 Homo sapiens よりも大きかったが、前頭葉前頭前野は小さかった。


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 ネアンデルタール人(左)と現生人類(右)の頭骨[*7]


前頭前野の発達が人間と他の動物の違いを生んでいると考えらているが、前頭前野が全体としてどのような働きをしているのかは、まだよくわかっていない。(→前頭前野の機能

大脳化の要因についても、複数の仮説がある。生活形態が樹上生活から地上生活に変わり、二足歩行を始めることで両手が自由になり、道具を使うことで、思考能力が発達したという説もある。進化論でいう「進化」は、過去の進化についての研究だが、人間はこの先、どのように進化していくだろうか。脳などの形態的な進化は何万年もかけて起こるものだとはいえ、道具の発達、とくにコンピュータの発達は、今後、人間の脳の進化に大きな影響を与えるかもしれない。


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 ギークの進化[*8]


(西暦2017-04-20 作成 11-06 更新 蛭川立

*1:日本モンキーセンター

*2:京都大学霊長類研究所

*3:共通祖先の化石が見つかっていないので、年代の推定には分子時計を使うしかないのだが、その計算方法によって分岐年代には誤差が出る。

*4:Quora

*5:Encyclopedia Britannica

*6:National Center for Science Education

*7:Eric Hufschmid

*8:Design This!