体調が悪いそうですが、なにか病気なのですか?

繰り返しやってくる眠気と倦怠感に悩まされています。具合が悪いときには十時間でも二十時間でも眠り続けてしまい、起き上がって歩くのもままならないことが多々あります。こうなると、生活や仕事に支障が出ます。これは「特発性過眠症」と診断されていますが、ようするに、原因不明の過眠症だということです。

これは、「うつ病」の症状だとも考えられます。しかし、定型的な「うつ病」では、強い精神的なストレスの結果、眠れない、食欲がない、その他、何事にも意欲が湧かないという症状が出るものですが、私はそうではありません。とくに精神的なストレスも感じていません。過眠、過食、倦怠感が起こる「非定型うつ病」という病気のほうに近いようです。

とはいえ、いつも具合が悪いわけでもなく、調子がよくなることもあります。調子がよいときと悪いときが繰り返されるので、「双極症(最近まで双極性障害と呼ばれていたもの)」だという診断もありますが、だれでも調子がよいときと悪いときはあるもので、どの程度からが病的なのかは、判断が難しいところです。

「重度の双極症(Ⅰ型双極症)」では、躁状態のときには眠らないでも働けるとか、意味もなく怒って暴力を振るうといった行動が起こりますが、私の場合、そこまでのことはありません。

軽度の躁状態(軽躁状態)とうつ状態を繰り返すものを「Ⅱ型双極症」と呼び、私はこちらのほうの診断を受けています。しかし、軽躁状態と、ただふつうに調子がいいときの区別は難しいものです。

なるほど今まで、調子がよいときには、北はヒマラヤ南はアマゾンまで飛び回って調査をしてきたものでしたが、これが学問的情熱なのか、背後に「双極症」という病気があるのかは、見極めが難しいところです。知的、芸術的な能力の背後で精神疾患が発病した場合、その組合せはむしろ創造的な個性としてあらわれるという考えもありますが、それはほんの一握りの天才だけに当てはまることだという反論もあります。

躁うつ病」と呼ばれてきた精神疾患は、漠然と精神の病気だと考えられてきましたが、現在では、心の病という傾向の強い「うつ病(大うつ病)」と、脳の病気という傾向の強い「双極症(双極性障害)」という別の病気として理解されるようになってきました。

「双極症」は、脳が発育を終えるころに起こる、神経伝達のバランスの崩れであり、遺伝的な要因の大きい病気だということがわかっています。体質的なもので、完治は難しいとされますが、無理をしないように心がけ、必要におうじて服薬することで、症状が出ないようにすることができます。

ただし、脳の病気とはいえ、脳の画像や血液検査などによって診断する方法が確立されていないのが現状です。今まで、「特発性過眠症」、「うつ病」、「Ⅱ型双極症」などと、違う診断名をつけられてきましたが、医者によって診断が違うのは、まだ客観的な診断法がないからです。

いずれにしても、何年も前から同じような症状に悩まされているので、逆にいえば進行性の、悪化していく病気ではなさそうです。前述のとおり、無理をしないように心がけ、必要におうじて服薬することで、多少具合が悪くなることはありますが、なんとか問題なく生活することはできています。

(2017-01-31 作成 12-05 更新 蛭川立