神秘体験と側頭葉

神秘体験と側頭葉

ワイルダーペンフィールドは、てんかん epilepsy の外科的治療の一環として、大脳皮質を直接刺激することによって、さまざまな体験が引き起こされることを明らかにした。とりわけ側頭葉を刺激することで、光を見る、精神と身体が分離するような体験など、さまざまな神秘的体験が引き起こされることを明らかにした。これは、超越的、神秘的な体験が側頭葉の特殊な活動によって引き起こされるという説の有力な根拠になっている。

(事後的につくられたイメージ映像)

(実際の記録映像)

もちろん、このことからすぐに脳という物質の働きが精神活動であると結論づけることはできない。このような実験からいえることは、物質の挙動と精神の挙動との間に関係があるというだけのことであって、前者が後者を生んでいるのか、後者が前者を生んでいるのか、といった議論に結論を出すことはできない。ペンフィールド自身は、やがて脳から心が発生しているのでもなく、心が脳を夢見ているのでもないという、心身二元論という立場をとるようになっていった。


(2015/2558-10-15 作成 蛭川立