蛭川研究室

蛭川研究室の「はてなブログ」版です

陰陽五行の世界観

漢民族の世界観 民族を言語で定義するなら、漢民族は中国語を話す人たちだと定義できる。中国語というのは単一の言語というよりは、方言の集まりである。方言とはいっても、音声では互いに通じないほど違うので、方言と呼ぶのは適切ではないかもしれない。そ…

干支

干支の由来 十干(じっかん)とは、陰陽五行の2×5=10となる分類体系で、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸からなる。また、それぞれを、木・火・土・金・水の五行の陰陽として、木兄(きのえ)・木弟(きのと)…と呼ぶこともある。陰陽と五行を結び…

脳の状態としての意識の状態

脳の状態としての意識の状態 精神が物質世界をつくるという唯心論的な立場に立てば、異なる意識状態が異なる現実をつくるというのは、むしろ当然の考えである。いっぽう、唯物論的な立場からすれば、「本当の覚醒」状態とされる意識状態が存在すること自体は…

変性意識体験と性的欲動

修道女の恍惚体験 宗教的な変性意識体験は、しばしば性的な色彩を帯びる。たとえば、中世ヨーロッパの修道女の霊的体験は、神やその子であるキリストとの合一感によって表現される。ベルニーニの『聖テレジアの法悦』[*1]のモデルになった、16世紀スペインの…

身体と意識(西暦2017年度)

講義概要 睡眠中に見る夢は、変性意識状態、つまり日常とは異なる意識状態の代表的なものである。人生の三分の一は睡眠状態、つまり幻覚を伴う意識消失状態なのだが、我々の社会はそれを病理だとは考えない。変性意識状態には、夢のほかに、催眠状態、臨死体…

不思議現象の心理学 西暦2017年度

講義概要 昔の人々は雷が鳴ったり火が燃えたりすることを「不思議現象」だと考えたのかもしれない。物理学や化学が発達した現代では、電気は不思議現象ではなくなったどころか、もはや電子機器なしの生活など考えられない。テレパシーや念力など、現在、「超…

人類学B(西暦2017年度)

講義概要 人間は、解剖学的構造や生理学的機能において他の動物と変わるところはない。しかし人間は、文化を持つ動物である。集団を作り生殖を行うという動物的な行為を、親族や婚姻といった象徴的な観念によって改めて意味づけし、そして、ときにその観念の…

人類学A(西暦2017年度)

講義概要 人間は、解剖学的構造や生理学的機能において他の動物と変わるところはない。しかし人間は、文化を持つ動物である。集団を作り生殖を行うという動物的な行為を、親族や婚姻といった象徴的な概念によって改めて意味づけする。とりわけ、芸術や宗教な…

向精神薬の歴史(科学は合理的に進歩しない?)

主な向精神薬の開発史を表にまとめると、以下のようになる。 1804 モルヒネの単離 地中海のケシから 1855 コカインの単離 アンデス先住民のコカから 1893 メタアンフェタミンの合成 漢方のマオウに含まれるエフェドリンから(日本で) 1897 メスカリンの単離…

精神展開薬と神経伝達物質

インドール系精神展開薬 神経伝達物質であるセロトニン(5-HT)は、インドール核を持つインドールアミンである。セロトニンとインドールの構造式。精神展開薬(精神展開薬 psychedics )の多くは、インドール核を持ち、セロトニンとよく似た分子構造を持って…

個人遺伝子解析

個人のゲノム解析 ヒトのゲノムは約30億の塩基対からなるが、そのうちでタンパク質をコードしているのは全体の約1%であり、遺伝子の数ではおおよそ2万になる。(このうちの半分である1万個が脳で発現している。)ヒトとチンパンジーの差異は2%弱で、ヒトの…

明晰夢と体外離脱体験

明晰夢 夢の中でこ「れは夢だ」と気づく体験は、心理学では明晰夢(自覚夢)(lucid dream)と呼ばれる。日本人の大学生を対象にした調査では、約8割が、一度ぐらいはそういう体験をしたことがあるらしいし、百人に一人ぐらいの割合で、毎晩の夢がすべて明…

タイでの出家

アジアの近代化と仏教原理主義 タイでは、仏教が国家的に信仰されている。このタイ仏教は、系統的には、原始仏教の流れをくむテーラヴァーダ仏教(上座部仏教)である。しかし、大昔の仏教が形を変えずに連綿と受けつがれてきているわけではない。タイは、ア…

瞑想時のθ波

FMθ いわゆる瞑想が、たんに目を閉じてリラックスしている状態ではないことは、脳波の測定からも間接的に推測できる。下の映像は脳波の強さを色彩で表したもので、周波数の低い順に左上がδ派、右上がθ波、左下がα波、右下がβ波である。通常、開眼で活動して…

日本列島の歴史年表

日本列島は、おおよそ北から順に(1)南樺太(サハリン)・千島(クリル)・北海道 (2)日本本土(本州・四国・九州) (3)奄美・沖縄 (4)先島の、四個の文化圏からなる。1はアイヌの文化圏である。2は狭義の日本文化圏である。3と4を合わせて「…

パーソナリティと遺伝子

5因子モデル 心理学では、様々なパーソナリティの特性論・類型論が論じられてきたが、因子分析による研究が進むにつれ、ゴールドバーグの特性5因子論(big five)が標準となってきた。 経験への開放性 Openness to experience 誠実性 Conscientiousness 外…

仮想現実と心物問題

シミュレーション仮説 物質と精神の関係において、近現代科学は唯物論(物質が精神に先立つ)または実証主義(物質と精神のどちらが先立つかの判断を保留する)の立場をとる。唯心論(精神が物質に先立つ)は過去の思索の遺物として顧みられないように思われ…

妙心寺東林院

右奥にあるのがサラソウジュ(Shorea robusta)。幹が二本に分かれている。

茶名「芳立」の由来

魂の勉強 「んー、お公家さんですね」エミコさんは私の顔をじっと覗き込んだ。いや、彼女の視線は、私の斜め後方にフォーカスしている。「お公家さん。武士じゃないですね?貴族。花園天皇の近くにおられた方です」。そう断言した。 糸満で美容師をしている…

Necology: ネコの「事情」についての動物行動学的研究

大げさにいえば、自分の研究の原点を見返そうということ、また「地域猫」活動の可能性について考えるためにも、近所のネコたちの数や生態を把握しておこうと、帰国後、東京の、ネコの額ほどの庭で、ネコ観察を始めてから、一年が経った。これがすっかり毎日…

勤勉と強迫の文化

(熊本城が地震でダメージを受けたが、大きな倒壊は起こらなかったらしい。犠牲になった人々に哀悼の意を表し、困難に遭っている皆さんを励ましたいと同時に、地震単独では被害が小さい、日本の建築が優れていることについて再考している。) あまり関係ない…

現代思想「マトリックスの思想」

蛭川立「因果律、変則性、明晰夢ー自由意志の性質に関する形而下的考察ー」 渡辺恒夫「明晰夢、死、転生ー世界という夢から覚めるために−」

精神分析から政治人類学へ

(無理は承知で、南米北西部の先住民社会とフロイト/ユングの意識/無意識の概念図を対応させてみました。) (2016/2559-07-04 作成 蛭川立)

家族図の表記法

男は四角か三角か? このブログでは、家族図の中で、おもに文化人類学的な表記法を使っています。自然人類学など、多くの他分野との違いは、文化人類学では男性を△で表すのに対し、他の分野では□で表すことです。女性が○であるのは同じです。他の多くの分野…

専門研究・人類学と意識科学Ⅰ・Ⅱ(西暦2017年度)

主に大学院修士課程の学生諸君を対象とした授業ですが、2017年度は受講希望者がおらず、開講しないことになりました。(聴講生二名の希望はあったのですが、正式な受講希望者がいないと、授業は成り立ちません。) (2017-04-06 作成 05-03 更新 蛭川立)

遺伝子からみた日本列島民の系統

二重構造説 日本人は、日本人の起源論が好きである。実際、日本人の系統は単純ではなく、いまだに詳細がわかっていない。民族集団の系統関係と言語の系統関係がよく一致することから、言語の類似性から人種や民族の系統を探る試みが続けられてきた。言語学的…

起源神話の行列による表記

行列による対称変換で南米先住民の神話を表現する。文化起源神話は、まず、現在の人間は文化を持っているが、人間以外の動物は文化を持たない自然状態である、ということを前提とする。そして、その筋書きは もともと文化を持っていなかった人間が、動物から…

起源神話における時間対称性の破れ

楽園追放 地球上で最もよく知られるようになった起源神話は、『聖書』の「創世記」であろう。創造神に「食べてはいけない」と指定された果実を食べてしまう、という出来事をきっかけに、人間は分別知を得るが、その代償として、人間は、農耕を行わなければ生…

邪術がもたらす均衡

出る杭は打たれる キリスト教暦で2001年の9月11日、ニューヨークのワールドトレードセンターが、乗っ取られた飛行機による自爆テロで崩れ落ちた。21世紀の始まりを象徴するかのような不気味な事件だった。この日僕はアマゾン上流のとある町に滞在していたの…

科学と非科学の線引き問題

「科学」という日本語 まず最初に触れておきたいのが「科学」という日本語の意味である。日本語で「科学」というのは、もともと個別科学という意味だが、現在ではより強い意味で使われるようになっている。日本語で「科学」または「科学的」という言葉を使う…