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蛭川研究室

蛭川研究室の「はてなブログ」版です

西暦2016年度蛭川担当科目一覧

西暦2016年度の明治大学での蛭川担当科目の一覧です。曜日・時間と教室は暫定的なもので、変更になる可能性があります。毎週の授業内容は、このページからリンクを辿ってください。授業はライブです。「生もの」です。公式のシラバスとは教室や時間が変わっ…

アヤワスカ

アヤワスカとチャクルーナ アヤワスカ ayahuasca は、アマゾン川上流域で儀礼的に使用される薬草茶である。ケチュア語で「aya」は、「死」「霊」という意味であり、「huasca」は、熱帯雨林で大樹に絡みつく蔓植物のことである。 中国語では「死藤」と訳され…

神経伝達物質と向精神薬

ドーパミン、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン) ↑ 興奮剤(コカイン、メタアンフェタミン(覚醒剤)など)(ニコチン、カフェインもこれに類似) ↓ 抗精神病薬 セロトニン(5-HT) ↑ 精神展開薬(サイケデリックス)(MDMAやTHCもこれに類似) ↑ 抗うつ…

近代ヨーロッパと自然科学的コスモロジー

「コスモロジーの地域史略論」に書いたとおり、現在、グローバル・スタンダードになっている(恐らくは地球外でも普遍的に通用しうる)自然科学的なコスモロジーは近代ヨーロッパに由来する。その原型は古代ギリシアの哲学にみることができる。自然科学的な…

遺伝子からみた人類の系統関係

ABO式血液型 とくに日本でよく知られているのがABO式血液型の遺伝子である。A、B、それぞれの遺伝子には、地域による頻度の差がある。The Cambridge Encyclopedia of Human Evolution (1992)アフリカからユーラシアに移住した現生人類の中で、ヨーロッパに移…

血液型トーテミズムと婚姻規則

日本を中心とする極東アジアには、ABO式血液型とパーソナリティとの間に関係があり、また各々の血液型ごとに、互いに好ましい結婚相手などの相互関係があるという観念がある。統計的な研究によれば、実際の相関関係はないか、あってもわずかであり(予言の自…

心物問題の近代と現代

西洋世界で起こった近代科学の急速な発展によって、十九世紀までに心物問題(あるいは心脳問題)は、ほぼ解決してしまったようにみえた。つまり精神と物質との関係において、物質が第一であって精神という実体は存在しない(唯物論)か、たかだか精神は物質…

日本列島の精神文化史概論

縄文時代 日本列島の文化があるひとつのまとまりをなしてからの歴史を人類学的に振り返ると、大きく縄文以前と弥生以降に二分される。弥生以降の文化がもっぱら中国大陸の影響を強く受けてきたのに対し、縄文以前の文化は環太平洋地域の先住民文化とのつなが…

インド・ヨーロッパにおける心物問題の略史

西洋近代における心物問題 古来からのアニミズム的世界観は、もっぱら物と心の関係については素朴な「二元論 dualism 」であった。(日本語の「モノ」は霊的な実体概念も含む。)同じ世界の中に物質的実体と精神的実体が素朴に共存しており互いに相互作用す…

「精神病」と「神経症」

「精神病」と「神経症」 「精神病」と「神経症」という、混乱を招きがちな概念について、敢えて単純化して、図式的にまとめてみたい。従来、精神疾患は、大まかに「精神病」と「神経症」に分類されていた。これらの名称は、歴史的な事情でつけられたもので、…

瞑想とヨーガ

サマタとヴィパッサナー ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教という区別にはかかわらず、インドの宗教の基本にあるのが瞑想である。インドの宗教は、なにか外部の存在を信じるというよりは、自己の内部を探求することを重視する。その点では宗教というよりは哲学…

明晰夢・体外離脱体験時の脳波

入眠時の明晰夢 1、覚醒状態から睡眠状態への移行段階で「うとうと」していた。EEGの波形はstage1(入眠期)。目の前には「ざる蕎麦」が見えた。EOGには眼球運動がみられる。2、意識は覚醒時よりかろうじて連続しているので、これは入眠期の夢だとわかり、…

輪廻と中有の観念

輪廻の観念 地球上のほとんどすべての伝統社会が、死後の霊魂という観念を持つ。転生、つまり霊魂がふたたび肉体に宿って現世に戻ってくるという観念を持つ社会は世界中に存在するが、それほど多くない。古代インド哲学・仏教思想を特徴づけるのが輪廻転生の…

神秘体験と側頭葉

神秘体験と側頭葉 ワイルダー・ペンフィールドは、てんかん epilepsy の外科的治療の一環として、大脳皮質を直接刺激することによって、さまざまな体験が引き起こされることを明らかにした。とりわけ側頭葉を刺激することで、光を見る、精神と身体が分離する…

意識の諸状態

四つの意識状態 人間の意識は複数の状態をとりうる。そして複数の意識状態に対応した複数の現実 reality が存在する。たとえば、古代インドの『マーンドゥキャ・ウパニシャッド』は、人間の意識状態を四種類に分類している。 1 「覚醒」状態 2 夢のない睡…

物理学は「超常現象」をどのように扱いうるか?(改訂中)

実験超心理学が研究対象にしている「超常現象」や「超心理現象」は、通常には起こりそうもないという意味で否定的に定義されて仮定された、雑多な現象群の総称であり、じっさいに研究が進んでいるのは、比較的安定して肯定的な結果を出している実験系が扱っ…

現代物理学と心物問題

世界を見ているのは誰か 科学の基礎となる物理学は物質についての科学である。物質の運動法則がわかればそれでいいし、技術的な応用もそれで事足りる。物理学は心や意識などの精神的領域を扱う必要がなく、唯物論モデルだけで無矛盾に記述できるように思われ…

喫茶養生記

南華会 意識状態に作用する薬草茶を研究するために、また、アルコールやカフェインの文化に対する代替案を提示するために、「南華会(なんかかい)」という会を名乗ったのが西暦2004年でした。「南華」とは、南の国の華やかな植物のイメージでもあり、『荘子…

アーネムランドの奇才画家

北オーストラリアの先住民画家、トンプソン・イルジリ(Thompson Yirrdjirri)氏は西暦1930年ごろ、西アーネムランドのグンバランヤ(オーエンペリ)に生まれたという。私がこの地を訪ねたのはようやく2014年のことで、残念ながら氏は数年前に亡くなられたと…

「性」と「死」の円環

エントロピーからの逃走 生命とは複雑にからみあった有機分子が構成する精巧なシステムだ。動物だろうが植物だろうが、あらゆる生物の身体を構成する単位である細胞は、多糖とタンパク質からなる膜につつまれた微細な空間であり、その中では核酸に刻まれた情…

「利己的な遺伝子」論から見た個体性

「良い」ことと、気持ち「良い」こと われわれはふだんの生活の中でごくふつうに「良い」とか「悪い」とかいう言葉を使うが、その意味をよく考えて使っているわけではない。今日は「良い」天気だ、とか、この曲はなかなか「良い」というときの「良い」は、ほ…

最近の著作一覧

○蛭川 立 (2009). 「密林の茶道ー茶の湯の人類学—」黒川五郎編『新しい茶道のすすめ』233-257. ○蛭川 立 (2009). 「星を観る眼(意識のコスモロジー)」『風の旅人』37, 29-32. ○蛭川 立 (2009). 「チェンマイ、彼岸の時空(意識のコスモロジー)」『風の旅…

「東洋」という概念

地球上の「文明」を「西洋」と「東洋」に分けるのは、あくまでもヨーロッパ中心の視点であり、人類学的には、あまり妥当な分類ではない。ヨーロッパ「文明」を中心としてみた場合、地球上の諸文化は、まず「北/南」=「文明/未開」に分節され、さらに北側…

輪廻・解脱・瞑想

インド的世界観の底流に流れているのは、輪廻 saṃsāra からの解脱 mokṣa という発想であり、その基本は、西洋近代科学の唯物論 materiarism とは反対の、唯心論 spiritualism である。mokṣaは英語ではliberationと訳されたりもするが、物質的な身体は精神を…

インド的精神文化の成り立ち

インド世界は、〈乾いた北〉から〈湿った南〉への、たびかさなる文化の侵入の累積によって成り立っている。その流入の順は、先住民(オーストロアジア語族)、インダス文明(ドラヴィダ語族説が有力だが不明)、アーリア人(インド・ヨーロッパ語族インド語…

コスモロジーの地域史概略

インドとヨーロッパ 現在、グローバル・スタンダードになっている(そして、恐らくは地球外でも普遍的に通用しうる)自然科学的なコスモロジーは、近代ヨーロッパに由来する。その原型は古代ギリシアの哲学にみることができるが、古代のギリシア文化と近代の…

年度別授業情報一覧

蛭川担当科目の時間割と授業内容の年度別一覧です。2016年度 2015年度 2014年度(在外研究にて授業休止) 2013年度(在外研究にて授業休止) 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度→日本語トップページに戻る …

心物問題と心身問題

「心物問題 mind matter problem」は、あまり使われない用語である。むしろ「心身問題 mind body problem」(あるいは逆に身心問題)という言葉で多くの問題が語られてきた。しかし、この用語は、問題をむしろある特定の領域に制限してしまう。身体以外の物…

身体と意識 西暦2015年度

詳細は追って書き加えていきます。随時最新情報をチェックしておいてください。【09/24】全体の展望 ・精神と物質の関係ーなぜそれが問題なのか?あるいは問題ではないのか? ・心物問題と心身問題【10/01】脳の構造と機能についての基礎知識 ・脳、神経細胞…

人類学B 西暦2015年度

詳細は追って書き加えていきます。時折最新情報をチェックしておいてください。地名や場所は随時地図でチェックすることをお勧めします。オンライン地図の定番は「Google Maps」です。【09/29】導入 ・コスモロジーの地域史概略【10/06】インド的世界観 ・「…

問題発見テーマ演習B 西暦2015年度

伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』をテキストにしながら議論を進めていきます。空白部の予定は決まり次第書き加えていきます。【09/29】 イントロダクションと今後の予定について【10/06】序章 沖村【10/13】第1章(1+2: pp. 12-40) 田村【10/20】第1章…

「超常現象を信じる心を科学する懐疑論的心理学」(資料)

海事都市・天文台のあるまちグリニッジ ロンドン都グリニッジ区は、古くはテムズ川に面した港湾都市として栄え、今では古い天文台を中心とした博物館群になっている。グリニッジの港を見下ろす丘には天文台が作られ、世界各地を航海する船舶のために太陽を観…

文明社会の神話的思考

文明社会の神話的思考 神話的思考はいわゆる未開人に特有のものではなく、科学=技術の発展した現代の都市社会でも、いや、そのような社会であればこそ、なおのこと―レヴィ=ストロースの言葉を借りれば―思考している当事者にも意識されずにー、はたらいてい…

数式表示実験領域

一変数の代数方程式は、一般にという形で表される。(Σ記号の上下に数式がうまく入らないのは何故でしょう…)(2015/2558-05-19 作成 蛭川立)

ヒト上科の配偶システム

現生ヒト上科各種の配偶システム 和名 学名 配偶システム 体重の性比 精巣の体重比 月経周期 交尾日数 ボノボ(ピグミーチンパンジー) Pan paniscus 多夫多妻的 1.2 40日 不定 チンパンジー(ナミチンパンジー) Pan troglodytes 多夫多妻的〜一夫多妻的 1.…

「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」について

「何でもかまわない」? 私(蛭川立)は明治大学科学コミュニケーション研究所のメンバーではあるが、西暦2014年に「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」が作成されたときには、オーストラリアのクイーンズランド大学人文学部歴史・哲学科の科学哲学研…

空手還郷

日本の輸入文化 縄文時代はさておき、遣隋使や遣唐使の時代から…www.youtube.com(『空海』予告編)幕末・維新の時代を経て…www.youtube.com(『長州ファイブ』予告編)…現代に至るまで続く「海外から進んだ文化を輸入しよう」という根強い文化が、日本には…

レンジャー・ウラン鉱山(北オーストラリア)についてのメモ

『サンガジャパン』20号に「象徴的実在の領域—ポスト・コロニアル・オーストラリアの神話的世界ー」という小論を載せています。小論の本文自体では、オーストラリア先住民の神話がグローバル化する現代の文脈において、どのように語られているのか、それが人…

よくある質問・要望と回答

【質問】 超常現象の科学的研究について知りたいのですが、良い本はありますか?【回答】 怪しげな本が多く出回っている分野で良書は少なく、情報源はよく選ぶ必要があります。日本語では、概説としては、石川幹人『超心理学』(紀伊国屋)が、一般向けの良…

よくある質問・要望と回答

【質問】 年号の数字が二つ並べてあるのは何ですか?【回答】 暦には、文化によって、いろいろな種類があります。当面は、様々な文化が作り上げてきた暦を併用するしかありません。しかし、そのすべてを列挙するのは、実際的ではありません。日本文化独自の…

よくある質問・要望と回答

【質問】 なぜ人類学を研究しているのですか? 【回答】 紆余曲折を経て人類学へ転身した理由や経緯を書くと非常に長くなってしまいますから、ここには書き切れません。別ページに書いたエッセイをご覧になるか、拙著『精神の星座』の最初のほうをお読みいた…

よくある質問・要望と回答

【質問】いろいろな研究をされているようですが、要するに、専門は、なに学なのですか?【回答】強いて既存の分野を挙げるなら、最も近いのは「心理人類学 psychological anthropology」でしょうか。人類学の下位分野としては、「言語人類学」や「社会人類学…

よくある質問・要望と回答

【要望】 不思議な体験をしたのですが、話を聞いてもらえませんか?【回答】 不思議な体験とはいっても、非常に範囲の広いものです。まず、私の研究分野を、おおよそ把握していただいた上で、その範囲にあるようであれば、ご連絡ください。私の知識ではカバ…

よくある質問・要望と回答

【質問】 雑誌記事や本の執筆・テレビやラジオへの出演をお願いしたいのですが。【回答】 まず、できるだけ詳細で具体的な企画をお聞かせください。ただ唐突に「○○について教えてください」というご依頼には、答えようがありません。どういう問題意識で企画…

よくある質問・要望と回答

【質問】 いつも大きなカバンをお持ちですが、何が入っているのですか?【回答】 おそらく世界中でもっともよく聞かれ、かつ、その都度説明するのに困惑する質問です。日本での勤務では、二つの校舎と自宅の間を行き来して仕事をする必要もあり、つねにある…

宇宙的時空感覚—「Powers of Ten」と「Cosmic Calendar」ー

Powers of Ten Powers of Ten™ (1977) - YouTube Cosmic Calendar Carl Sagan - Cosmos - Cosmic Calendar - YouTube (2015/2558-04-27 作成 蛭川立)

フィールド・アプローチⅡ 西暦2016年度に向けて

※2015年度は履修登録者なしで開講しないことになりました。しかし、海外調査を計画している皆さんの個別相談は引きつづき受け付けます。このページも来年度に向け、折に触れて加筆していきます。秋学期の「フィールド・アプローチ」では、フィールドワークの…

SNS等について

Twitter、mixi、Facebook、LinkedInに、実名で登録しています。 twitter Twitterは、自分で書き込むこともありますが、むしろ自分の関心領域と関係した、学術・文化的な情報に特化したニュースや、注目している研究者や研究機関をフォローすることを主たる目…

修士課程・専門研究 2015年度春学期

大学院修士課程の専門研究ですが、履修者数が少なかったこと、等々の事情により、「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」(明治大学科学コミュニケーション研究所)の内容を、今後の改定に向けて検討することにしました。セミナー担当の蛭川立も明治大…

悲しき北回帰線/どのようにして人は民族学者になるか

北回帰線の長いトンネルを抜けると熱帯であった。土が赤くなった。初めて目にするラテライトの大地。その鮮烈な色彩が視野に広がる。枕元のiPhoneが振動した。夢の世界から、急に物質世界に引き戻される。例によってスーザンは突発的にメールを送ってくる。…